2014年9月23日火曜日

Book review 7: Ultimate MMA Conditioning by Joel Jamieson

読み終わったので書きます。ちなみに再読です。最初に読んだのは2−3年前です。その際は運動生理学の授業と並行しながら読んでました。今なら以前に比べて理解が増えるかなと思ったので再読しました。



この本はMMAという総合格闘技向けの持久系コンディショニングの本ですが、この本で述べられている考え方やトレーニング法やプログラミングは参考になるものです。


<この本で思ったこと>


・有酸素系エネルギーシステムの向上がとても重要
  間欠性のスポーツ(MMAやバスケなど)ではなお重要とのこと。有酸素系の能力を向上させて休息間に回復することで、試合後半も前半と同じようなパフォーマンスを保てる可能性が高くなる。


・もちろん有酸素系だけでなくて、無酸素系(LacticとAlactic)の向上も重要。


・有酸素とLacticシステムの改善は同時期に行うべきではない。
   この2つは違う酵素が使用されており、同時期に向上を狙うと身体の適応がむずかしくなりかねない。


・トレーニングは「キツければ良い」という物ではない。
  “One of the most important training principles when it comes to selecting the methods and volume/intensity of your training program is to start with the lowest intensity and the least amount of volume that will stimulate adaptation and increase from there."
  「トレーニングの強度や量、プログラムを選択する際に重要な一つの原則は、身体適応が起こる最低限の強度と量から始めることである。」
  選手に“キツイ”ことをさせるためにでなく、身体適応を考慮し、それが起こるトレーニングを作成する。 
キツイことが目的でなくて、適応が目的。 


・持久系コンディショニングだが、ウエイトトレーニングをしないわけではない。むしろ行うべき。
   筋肥大トレーニング(低強度・高回数)は文字通り、筋肥大が目的。筋断面を大きくすることによって、酸素を使う能力が上がるとのこと。
   ※個人的思考=筋肥大すればミトコンドリアも増加するはずだから、有酸素系エネルギーシステムの向上の可能性はある。

   筋力向上トレーニング(高強度・低/中回数)ではAlacticパワー(ATP-PC)の向上を担う。また高重量を扱うことによって、Motor unit(運動単位)のRecruitmentが向上される。よって爆発的パワーの改善に繋がる。



・高重量を扱うウエイトトレーンングはプロテイン合成を担うホルモン(テストステロンやIGFなど)がトレーニング直後に体内で増加する。しかし、その直後に長時間の有酸素運動やLacticシステムを使う運動を行うとホルモンが減少し、プロテイン合成が落ちてしまう可能性がある。
      ・長時間というのは45−90分であり、15-20分程度の有酸素運動はむしろ疲労除去の目的でクールダウンとして行っても良い。


・オフシーズン、プレシーズン、インシーズンによって、トレーニングの種類を変更するべき。
   ・オフシーズンはGeneralなトレーニングを行う。
   ・プレシーズン/インシーズンはより競技特異的なトレーニングを取り入れる。

   例)オフシーズンは有酸素能力を向上させるために30-60分のエアロバイクを実施。無酸素系向上のために、スプリントなどを取り入れたトレーニングを実施。

  プレ/インシーズンは競技特異性を考慮したトレーニングを入れる。 この本だと競技はMMAですので、スパーリングを時間や量を調節して行うといった具合です。
  ・特異性は単純に競技動作を真似て行うのではなく、トレーニングによって得られる適応を元に考える。

    つまり、プレ/インシーズンでは競技練習が中心になり、その競技練習の強度・量を上手に調節するのが大事。ここは監督やコーチとうまい話しあわせが重要かと。



・Joel Jamiesonが日本に来てセミナーを開いてくれないかなと思う。

<考察>

 長距離ジョギングについて。 
 心拍数を120−150範囲で保つゆったりとしたペースの運動を30−90分行うことによって有酸素系の適応が望める(Cardiac output method)。 
 この場合、長距離のジョギングが簡単な方法であると考えます。しかし、長距離のジョギングは筋力・筋パワーの低下や柔軟性の低下の可能性がある。
 
単純にウエイトの日とジョギングの日を交互に組み合わせても良いのかとも考える。

エアロバイクなどがあればそれでもいいかと。ただ、座りっぱなしなのでHip flexorの柔軟性が低下してしまうことがあるかもしれない。

アメリカにいたときはサーキットトレーニングをよく使用してたが、施設の環境次第であろう。

有酸素系だけを目的とすれば長距離ジョギングは良い。しかし、他の要素を加えるとマイナスにならないだろうかと考えてしまう。 別な手段でCardiac output methodを実施することが望ましいと考える。



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京都に来てそろそろ2週間くらい経ちます。 関西圏のスポーツ関係者はまだまだ知らないので、お会いできる機会が多々あればと思います。