2014年12月8日月曜日

NSCAジャパンカンファレンス2014



12月6日と7日に国士舘大学で行われたNSCAジャパンカンファレンスに出席してお勉強してきました。
受けた講義・実技で個人的に参考になったな~ということを忘備録のようにまとめていきます。


12月6日(土)

【ヒト複合関節動作の神経ー筋制御システム~スポーツ・日常動作に必要なパワー発揮能力とその向上のための最適なトレーニング方法とは?~】 山内潤一郎氏 (首都大学東京准教授)

・解剖学やバイオメカニクスの復習として良かったかな~と思います。

・Myostatinという筋肉成長を阻害するタンパク質の存在を恥ずかしながらこの講義で知りました…

・山内氏の足首テーピングとジャンプパフォーマンスについての論文を読んでみようかと思います。




【様々な競技アスリートにおけるオリンピックリフティングを核としたレジスタンストレーニングのプログラムデザイン】 Bob Takano氏 (Takano Athletics トレーニングディレクター)

・Eu-StressとDi-Stressについて。また、それを上手にコントロールすることが大切。
  これらのストレスに関してはG.A.SでおなじみのDr. Hans SeyleのStress of Lifeという著書に詳しく書かれています。 自分も途中までしか読んだことはないので、今度買ってみようかな…

・やはりSnatch, C&J, Squatといった全身運動が軸となり、それらの運動でひたすら体力を向上させるとのこと。

・上半身の押す運動としてベンチプレスよりもプレスが重視になる。
   プレスでは肩の前面・後面が鍛えられるが、ベンチプレスでは前面のみ。

・回復方法のポイントとして同じ方法を繰り返さない。
  
   

・オリンピックリフトのテクニック習得に2-3か月かかることも。

<個人で質問したこと>
・プレスでダンベルを用いるのか?
  用いるときもあるけど、オリンピックリフトではバーベルを使うから主にバーベルでプレスを行うとのこと。

・スポーツコーチとの連携が大事といったが、Bob Takano氏自身でスポーツコーチとの良いコミュニケーションを図るために気をつけている点があるのか?
  スポーツコーチがまず何を求めているかを考え(大抵は勝利)、その求めているものを実現するためにS&Cができることを上手に説明することが大事。プレゼンやカウンセリング能力といった点ですかね。 個人的にここが難しい所…



【懇親会】
ビール約1瓶+日本酒3杯…笑

いろいろな方とつながることができる有意義な場でした。東北エリアの方で一人だけ顔真っ赤にしてた人もいました…笑



12月7日(日)

【実技:様々な競技アスリートに対するオリンピックリフティング指導の実例】 Bob Takano氏 (Takano Athletics トレーニングディレクター)

・Ground Based Movementに基づいたトレーニング処方の重要性

・スナッチやC&J習得のために段階的なエクササイズ選択の処方

<個人で質問したこと>
・スナッチやクリーンの指導中に“ダブルニーベンド”という言葉を使わなかったがそれは意図的なのか?
    バーが膝を過ぎてから、重心を母子球に乗せるという指導ですでにダブルニーベンドが自然に出来上がる。わざわざその言葉を使う必要もないとのこと。大事なのは言葉を伝えることでなくて、動作を身につけさせてやること。

このコーチングに関しては個人的に非常に参考になる部分でした。 名前や言葉に捉われすぎることがあるので…


【実技:ジュニア野球選手における障害予防とパフォーマンス向上のためのフィジカルトレーニング】 David Szymanski (Louisiana Tech University Associate Professor)

※ルイジアナ工科大ということで真っ先に思い出したのはカール・マローン…笑

・よく耳にする“野球のようなオーバーヘッドの競技において、ベンチプレスは肩に悪いから行わない”ということではなく、正しいテクニックで行うことが大事”

・身体の左右差は仕方のないこと。左右差を無くすことではなく、それ以上に左右差を広げないことがS&Cコーチとしての使命の一つである。

・肩周辺のエクササイズは基本的に肩甲骨を下げて+寄せて行う。

・タオルを用いた肩関節の外転&内転のストレッチは参考になりました。

・競技とS&Cは別物。特異性の原則を誤解しないこと。

・身体に適応が起こる最低限の量や強度のトレーニングを行う。それによってオーバートレーニングや障害を防げる要因になる。

<講義後にDr. Szymanskiと話したこと>
・後々、彼の論文を読もうと思い、おそらく疑問も出てくるだろうから、とりあえず名刺交換をしておきました。そしたらメールをくれれば論文を自分に提供することもできるとのこと。名刺交換、やっておくもんです。

・解剖学やバイオメカニクス、生理学の重要性について教わりました。それがわからない指導者に運動を教えたって、役に立たないと仰っていました。よくいるらしいです、“これを改善・向上したいがどんな運動が良いか教えてくれ”という質問者が。上記の基礎的な科学知識を有していればわかる部分はあるし、それでわからなければ聞きにくれば良いと。とまぁ自分ももっともっと上記の分野を勉強しないとな!って思いました。 
機会があればDr. Szymanskiの指導現場を観察したいものです。ルイジアナかー…ニューオーリンズ行って音楽聞きながらビール飲んでオイスター食べたいしなー



【科学的知見に基づくS&C指導】 河森直樹氏 (国立スポーツ科学センター トレーニング指導員)

・エビデンスとは指導経験や選手からのフィーバックなど、科学的知見のみではない。

・論文をいかに客観的に読めるかの重要性。

・相関関係=因果関係ではない。

・効果の有る無しだけでなく、効果量も考える。

・論文はDecision MakingのためのTool

・聴く人が考えるような入り方でプレゼンを始める。

・日本語のみでなく、スライド上にWhat?やWhy?といった言葉を入れて、強調している。

・4部構成というように、分けてプレゼンを行う。また、次の部に移動する際は一旦休憩的なスライドを入れる。

・スライドに文を入れすぎない。シンプルな構成に。



【まとめ】
なかなか勉強になる2日間でした。様々な方々と新たなつながりも構築できましたし、カンファレンス以外にも久しぶりに会う友人と飲みに行ったりご飯に行ったりと楽しかったです。
また、プロの通訳さんは本当にスゴイな~と思います。 講義中に自分も頭の中で翻訳をしていたのですが、まー瞬時に翻訳なんてできません。 あれはカッコいい…笑
今回のカンファレンスでボランティアなどで動いて頂いた方々には感謝しきれません。 この場でお礼を申し上げます(このブログを見てるとは思わないけど…笑)



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カンファレンス2日目、ニンニク臭いなこいつ…と思われてたかもしれません。
すみません、土曜日の夜、新宿で飲んだ後に勢いで二郎系食べちゃいました。笑





  

2014年10月19日日曜日

バックエクステンションについて

The Glute GuyのBret Contrerasが面白い記事を載せてたので紹介します。


All About Back Extension


記事ではバックエクステンションについて7つの項目に分けて説明されてます。



記事・動画を見て復習として箇条書きで書いていきます。



・バックエクステンションを行う際に使用する器具は主に2種類ある。

水平バージョン


45度バージョン

どちらを使うにしても臀筋とハムストリングスを活用できるとのこと。
水平と45度の違いはこちらの記事で↓

・骨盤のあたりに黒パッド(45度器具)が当たるように設定。
・黒パッドが太もも前面の位置だと、臀筋は活動されにくくハムストリングが主に活動されやすい。
・逆に黒パッドがへそ辺りの位置だと、腰が屈曲せざるを得なくなる。

なので、骨盤あたりに黒パッドが当たるように設定。


・足の向きは斜め外。
 −斜め外に向けることによって臀筋の活動が増えるため。

・脊柱起立筋を鍛えたい場合は、下がる際に腰を屈曲し、上がる際に伸展する。
 −動画の2:25あたりで説明されてるので、イメージがつきにくい人はそちらへ。
 −個人的には行わないかなぁと。
    −腰の屈曲・伸展を何回も繰り返すと腰痛の可能性が高くなるかと。
    −そもそも臀筋を中心として行うから効率の悪い運動はしないかなと。

・写真のように脊椎過伸展を行わない
   
   
・脊椎をニュートラルに保つ
  


・臀部を支点として運動するためのキューとして、臀部の側面からピンが入り込むことをイメージし、そのピンを中心として屈曲・伸展を行う。

・上がる際に、臀部をパッドに押し付けるようにするというキュー。

・この運動中に膝裏が痛くなったら足の位置を移動して膝を軽く曲げる(7:25参照)

・まずは自体重で3x30回をセット間の休憩は45秒で行う。

・負荷のかけ方:手は胸の前→プリズナーポジション→片足→軽いダンベルなどで顎の下→重いダンベルで胸の前。肘は外側に開く。

・降りる際にエキセントリック収縮を意識してゆっくり下降するのも一つ。

・チェーンやバンドを使用してもOK。




Finisherとして使ってもいいし、意図を考えて行えば有効な運動かと思います。
例えば、筋力がなくスクワットなどの全身運動が良いフォームで行えない場合に、基礎的な筋力を向上させるために使用したり。


しかし、The Glute Guyって日本語でなんて訳せばいいんだ。
臀筋男? 2chが荒れそうだな。



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週末は2日連続でbjの試合を観戦してきました。いろいろとありまして無料で2試合観戦できました。
やっぱDFが良いのと1試合で4・5人が10点取れるチームって強いな〜
チームプレーっておもしろい〜

2004年アテネオリンピックのアメリカvsギリシャのように個人プレーばかりのチームに対してのチームプレーは観てておもしろい!


2014年10月4日土曜日

スクワットプログレッションについて

こちらの記事がとてもおもしろかったので紹介します。


A Teaching Progression for Squatting Exercises

米国NSCAのStrength and Conditioning Journalでも閲覧可能です。

スクワットは全身の筋力、柔軟性、ボディコーディネーションを向上するのに効果的です。

スクワットをさせることが指導の目的ではありませんが、スクワットの効果を考えると私のトレーニングフィロソフィーである
①障害リスクの減少
②競技パフォーマンスのポテンシャル向上
という目的を達成するための"手段"としてスクワットを取り入れます。


しかし、最初から正しいフォームでスクワットが出来る人はそう多くはないです。 
 −下降時に上体が前傾しすぎたり
 −膝が前に出過ぎたり
 −パラレルまで下がれなかったり
 −etc...


スクワットの種類

ざっと並べて見ると下記のようになるかと思います(シングルレッグは除く)

①バックスクワット(BSQ)
一般的に知られているスクワットかと思います。 一番高重量を扱うことができます。

②フロントスクワット(FSQ)
バーを肩前方に置いて行うスクワットです。BSQよりも上体を真っ直ぐに保つのが条件です。でないとバーベルが下がってしまいます。 上体を真っ直ぐに保つことが条件ですので、脊椎へのストレスがBSQよりも少ないということでFSQを主にしているプログラムもあります(ボストン大学のアイスホッケーチームなど)。 クリーンのキャッチ姿勢の練習にもなります。

③オーバーヘッドスクワット(OHSQ)

写真のように、バーを頭上に挙げたまま行うスクワットです。こちらもFSQ同様、背中を真っ直ぐ保つ必要性があります+肩の柔軟性も必要です。 まだまだ軽い重量でしか扱えませんが、私のお気に入りのトレーニングでもあります。 スナッチのキャッチ姿勢の練習にもなります。

④ゴブレットスクワット
ダンベルを胸の前に持って行うスクワットです。BSQやFSQのように高重量は扱えませんが、初期段階のプログレッションとしてはアリかもしれません。 ただ重りを前に持つことによって、肩甲骨が外転してしまい(開いてしまうこと)、胸が張りにくくなることも。ダンベルでも重量を重くしていくとその傾向があるな〜とインターン経験の中で考えるので、個人的にはあまり使わないトレーニングです。

⑤ザーチャースクワット

バーベルを肘あたりで支えながら行うスクワットです。 上記のゴブレットスクワットと同じ理由で、個人的に使用しません。

⑥バランスを取りつつ行う"ふぁんくしょなる”なスクワット

ジョークです。 やめましょう。




どのスクワットから始めれば良いのさ?

個人的には正しいフォームのBSQで高重量を扱えるようにまで持っていくのが、スクワットトレーニングの目的です。
しかし、いきなりBSQから始めるというのも難しいのが現実...
じゃあどうやってBSQまで持っていけばいいのさ...?

そんなときに上記にリンクしてある記事が個人的に参考になりました。

著者のLoren Chiuはスクワット動作における4つのプログレッションを紹介しています。

1.プレートスクワット(Plate SQ)

・プレートの端を頭に載せ、反対の端を手で持つ。
・最初は10kgの重さが適切。
・BSQやFSQと違い、頚椎にも負荷が直接かかるので、首に痛みや怪我ある選手は控える。
・プレートが常に床と並行になるように。プレートが傾く=上体を真っ直ぐに保ててない=背中の筋力が弱い。
  −バレーボールなどをプレートの中心に乗せるという工夫もアリです(写真のように)



2.オーバーヘッドスクワット(OHSQ)


負荷を頭上に挙げたままスクワットすることによって、背中を真っ直ぐに保たなければいけません。それにより、背中の筋力向上が望めるでしょう。また肩の柔軟性改善も望めます。


3.フロントスクワット(FSQ)
OHSQよりも高重量が扱えるので、OHSQを習得した後にFSQに移行します。
FSQを始めるにあたって、No-arm FSQを実施することも良いでしょう(下記写真)

4.バックスクワット(BSQ)


1−3のスクワットパターンを適切に行えば、効率的に指導が可能となることです。 違いはバーのポジションが変わって、あとは同じようにスクワットをするだけなので。


以上の4種類が紹介されているスクワットパターンです。
個人的にはプレートスクワットができない場合は自体重でスクワットをさせることもあります。




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新鮮なさんまの刺し身が食べたい。 





2014年9月23日火曜日

Book review 7: Ultimate MMA Conditioning by Joel Jamieson

読み終わったので書きます。ちなみに再読です。最初に読んだのは2−3年前です。その際は運動生理学の授業と並行しながら読んでました。今なら以前に比べて理解が増えるかなと思ったので再読しました。



この本はMMAという総合格闘技向けの持久系コンディショニングの本ですが、この本で述べられている考え方やトレーニング法やプログラミングは参考になるものです。


<この本で思ったこと>


・有酸素系エネルギーシステムの向上がとても重要
  間欠性のスポーツ(MMAやバスケなど)ではなお重要とのこと。有酸素系の能力を向上させて休息間に回復することで、試合後半も前半と同じようなパフォーマンスを保てる可能性が高くなる。


・もちろん有酸素系だけでなくて、無酸素系(LacticとAlactic)の向上も重要。


・有酸素とLacticシステムの改善は同時期に行うべきではない。
   この2つは違う酵素が使用されており、同時期に向上を狙うと身体の適応がむずかしくなりかねない。


・トレーニングは「キツければ良い」という物ではない。
  “One of the most important training principles when it comes to selecting the methods and volume/intensity of your training program is to start with the lowest intensity and the least amount of volume that will stimulate adaptation and increase from there."
  「トレーニングの強度や量、プログラムを選択する際に重要な一つの原則は、身体適応が起こる最低限の強度と量から始めることである。」
  選手に“キツイ”ことをさせるためにでなく、身体適応を考慮し、それが起こるトレーニングを作成する。 
キツイことが目的でなくて、適応が目的。 


・持久系コンディショニングだが、ウエイトトレーニングをしないわけではない。むしろ行うべき。
   筋肥大トレーニング(低強度・高回数)は文字通り、筋肥大が目的。筋断面を大きくすることによって、酸素を使う能力が上がるとのこと。
   ※個人的思考=筋肥大すればミトコンドリアも増加するはずだから、有酸素系エネルギーシステムの向上の可能性はある。

   筋力向上トレーニング(高強度・低/中回数)ではAlacticパワー(ATP-PC)の向上を担う。また高重量を扱うことによって、Motor unit(運動単位)のRecruitmentが向上される。よって爆発的パワーの改善に繋がる。



・高重量を扱うウエイトトレーンングはプロテイン合成を担うホルモン(テストステロンやIGFなど)がトレーニング直後に体内で増加する。しかし、その直後に長時間の有酸素運動やLacticシステムを使う運動を行うとホルモンが減少し、プロテイン合成が落ちてしまう可能性がある。
      ・長時間というのは45−90分であり、15-20分程度の有酸素運動はむしろ疲労除去の目的でクールダウンとして行っても良い。


・オフシーズン、プレシーズン、インシーズンによって、トレーニングの種類を変更するべき。
   ・オフシーズンはGeneralなトレーニングを行う。
   ・プレシーズン/インシーズンはより競技特異的なトレーニングを取り入れる。

   例)オフシーズンは有酸素能力を向上させるために30-60分のエアロバイクを実施。無酸素系向上のために、スプリントなどを取り入れたトレーニングを実施。

  プレ/インシーズンは競技特異性を考慮したトレーニングを入れる。 この本だと競技はMMAですので、スパーリングを時間や量を調節して行うといった具合です。
  ・特異性は単純に競技動作を真似て行うのではなく、トレーニングによって得られる適応を元に考える。

    つまり、プレ/インシーズンでは競技練習が中心になり、その競技練習の強度・量を上手に調節するのが大事。ここは監督やコーチとうまい話しあわせが重要かと。



・Joel Jamiesonが日本に来てセミナーを開いてくれないかなと思う。

<考察>

 長距離ジョギングについて。 
 心拍数を120−150範囲で保つゆったりとしたペースの運動を30−90分行うことによって有酸素系の適応が望める(Cardiac output method)。 
 この場合、長距離のジョギングが簡単な方法であると考えます。しかし、長距離のジョギングは筋力・筋パワーの低下や柔軟性の低下の可能性がある。
 
単純にウエイトの日とジョギングの日を交互に組み合わせても良いのかとも考える。

エアロバイクなどがあればそれでもいいかと。ただ、座りっぱなしなのでHip flexorの柔軟性が低下してしまうことがあるかもしれない。

アメリカにいたときはサーキットトレーニングをよく使用してたが、施設の環境次第であろう。

有酸素系だけを目的とすれば長距離ジョギングは良い。しかし、他の要素を加えるとマイナスにならないだろうかと考えてしまう。 別な手段でCardiac output methodを実施することが望ましいと考える。



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京都に来てそろそろ2週間くらい経ちます。 関西圏のスポーツ関係者はまだまだ知らないので、お会いできる機会が多々あればと思います。




2014年8月24日日曜日

Book review 6: Strength Training for Sport by William Kramer and Keijo Hakkinen





読み終わりました。

私自身の復習も含め、レビューを書きます。

自分が勉強になったなぁと思う部分や疑問に思う部分を書きたいと思います。


<勉強になった部分>

①Needs Analysis(ニーズの分析)

トレーニング指導を行う前に、そのスポーツでは、その選手にはどんな改善・向上が必要かを見極める。 まぁたしかに大事なのはわかってるけど、インターンしてる時はそんなことを考えながらやっていたかなーと思う部分があったので。

Needs Analysisの中でも4つの項目があって、分析する際の参考になるかと思いました。

1. What muscle groups need to be trained? What exercise are used for these muscle group?
 -どの筋肉群を鍛える必要があるか?それらの筋肉群を鍛えるためにそのエクササイズを用いるか?

まぁ個人的に言うと全身の筋力向上が大事な訳であり、筋肉群で考えるよりも動作別でエクササイズを分類する方法を用いるかな。 スクワット系、ヒップヒンジ系、押す・引く系(水平・垂直方向)というように。


2. What are the basic energy sources which need to be trained?
 -どのエネルギーシステムの改善が必要なのか?

そのスポーツに置いてのエネルギーシステムの使われ方の把握ということ。 バスケットなら間欠的持久力だし、カヌーやマラソンなら断続的持久力だしという認識をして、なにが必要なのかということ。


3. What Type of muscle action should be used?
 -何の種類の筋肉の活動が使われるか? コンセントリックやエキセントリックなど。


4. What are the primary site of injury for the particular sport or prior injury history of the athlete?
 -そのスポーツで、怪我の発症率が高い部分はどこか? 選手の過去の怪我はなんなのか?


とにかく分析が大事。 それこそS&Cコーチもどんどんその競技の練習を見学するべきだし、その競技について知っておくべきである。 チームによって戦略も違ってくるし(バスケならラン&ガンスタイルなのかセットオフェンス中心なのかとか) それを知っておくことが大事だし、それがコーチとの良い関係を築く種になると信じる。 ただしあくまでS&Cコーチなので知っておくだけ。 技術や戦術に関して口は一切出していけない。



②Specificity(特異性)

Specificity is a major tenet in resistance training and is based on the concept that the exercises and resistance used result in training adaptations which will transfer to better performance in sport or daily activity.

特異性とはレジスタンストレーニングにおいて中心となる原則であり、スポーツパフォーマンスや日常生活の向上に貢献する適応を生むエクササイズやレジスタンスを用いる概念が基本となっている。

単に競技動作に似てる・真似る=特異性でなくて、そのトレーニングによって得られる適応によってパフォーマンスが向上すればそれが特異性である。

例えば、ジャンプ力を上げたいとする。 一般的に授業などで教えられる(私が受けてきた授業ですが)特異性ではジャンプの反復練習をすればジャンプ力が向上する。 たしかに反復練習は必要です。 ですが、適応を考えた特異性の原則は、ウエイトトレーニングで筋力・筋パワーを向上しましょう。 ウエイトトレーニングで得られる適応(筋力・筋パワーの向上)がジャンプ力向上に結びつく。 


ここらへんはJoel JamiesonのUltimate MMA Conditioningという本でも詳しく書かれています。


③トレーニングルームの管理や安全確保について

意外に見落としやすいかもしれないです。でもCSCSのテストでもこの項目はあるんで、CSCS持ってる人は大体把握してるかと思います。 とりあえず私個人としてこの項目については再確認できました。






<疑問に思う部分>

①Order of Exercise(エクササイズの順番)

When an athlete is faced with performing maximal whole body power moves under conditions of great fatigue, one may find support for placing power cleans at the end of a workout.

選手が疲労状態の中で最大限のパワーを発揮しなければいけない状況があるスポーツ(レスリングの最後の1分間など)において、パワークリーンなどの爆発的パワー系運動をトレーニングの最後に取り入れることも可能である。


うーん。。。
単純に考えればそうかもしれないけど、なんかしっくりこない。。。

疲労している状態でクリーンなどを行ったらフォームが崩れやすいのでは?

フォームを崩したら本来得ようとしている適応が得れないのでは?

フォームを崩したら何よりも傷害の可能性が高まるのでは? 安全面に不安である。


有酸素系エネルギーシステムを向上させて、休息間の疲労除去能力を高める方がイイかなと思う(様々な要素が絡むので一概には言えないが)。 それが間欠的持久力のスポーツならイイかもだが、断続的持久力を要するスポーツだったら?と考えると、正直まだわからん。

しかし、疲労状態の中でパワー発揮をするためにはトレーニングの最後に爆発的パワー系運動を取り入れるというのは、もうちょっとしっかりした理由を欲しいかなと思う。 私は現段階では安全面や効果を踏まえてパワー系運動はやはりトレーニングの最初です。




以上です。



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今日は友人達と山形県に近い川崎町で釣りしてきました。 釣った魚をその場で塩焼きにするのは美味かった〜  

あと2週間で地元生活も終わりなので、今のうちに楽しもうと思いま〜す♪



2014年8月23日土曜日

鏡の目の前でスクワットをするかどうか



何気な〜くStarting Strengthを読み返したら、Mark Rippetoeがスクワットする際の目の前の鏡の有無についてイイ事言ってました。



個人的意見として鏡は必要かと言われると、「別に必要ない...」っていう感じです。


なぜかと言うと、スクワットというものは大体横から見るものです。 前の鏡を通して、ケツがどの位下がってるなんて横から見るのと比べるとわかりにくいです。 Frontal Planeしか見れないし。 あと鏡に写ってる自分を見るのがなんか恥ずかしいし...



そんでMark RippetoeがStarting Strengthの中で言っているのは、

The best reason not to use a mirror in front of any multijoint exercise is that you should be developing kinesthetic sense of movement by paying attention to all the sensory input provided by proprioception, rather than focusing merely on visual input from a mirror.

多関節運動の際に目の前に鏡を使わない一番の理由は、鏡を使用して視覚だけを使って集中するよりも、固有受容器から供給される全ての感覚を駆使して運動感覚を養うこと。


鏡を使うとどうしても視覚で動作を判断してしまいがちになるかと思います。
鏡を使わないことによって、自身の身体に正しい動作をインプットし、運動感覚を養えることが鏡を使わない利点ですね。




Learn to FEEL it, not just see it.


Starting Strength、オススメですよー!

2014年7月15日火曜日

Book Review 5: Strength and Power in Sports by P.V. Komi

とんでもないくらいに間が空いてしまいました... 

3ヶ月も


その間に大学卒業したり、日本帰ってきたり、就職決まったりといろいろなことが。







実際この本を読んだのは2年くらい前の冬休み中でした。 最近気になった章を再読しています。

たしかWeight Liftingについて勉強しているうちにこの本を見つけたのだと思う。 

この本の最終チャプターがWeight LiftingでちらっとWeb上で読めたので、読んでみて勉強になりそうだな〜という軽い考えで購入したと思う。




神経やら筋肉やら分泌のメカニズムから始まり、ストレングストレーニングによってそういったメカニズムがどう適合されていくかなどなど。


どちらかと言えば科学者向けなので当時はむちゃくちゃ読むの大変でしたけど、めちゃくちゃ勉強になりました。



とにかくこの本に出てくる科学者が世界的にも超有名な人達ばっかです。

Paavo Komi, Keijo Hakkinen, Mike Stone, Steven Fleck, William Kraemer, Zatsiorsky, John Garhammerなどなど。

この本を読んだ時から、この科学者達の論文やら本などをいろいろ読むようになりました。
ZatsiorskyのScience and Practice of Strength TrainingやMike StoneのA theoretical model for strength trainingなど。


今度はKeijo HakkinenとWilliam Kraemerの本が届く予定です。 楽しみです。

その前に今読んでる本を終わらせないとな〜



ブックレビューではないようなレビューでした。